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小説 「妄想の仮面」 第六章・・・
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2008/06/04(Wed)
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※ 小説を読まれる方へ・・・ 「お宅までお送りしますよ」 運転手に気づかれないように、私は声にならない声で叱りました。 心のどこかで、こうなることを期待していたのかもしれません。現実にはあり得ないトレンディドラマに憧れるように、私は非日常の恋愛を密かに夢見ていたのです。 もう一人の私。 それは主人と娘を裏切ってでも、清川君に淡い恋心を抱く女の私だったのです。 どちらが本当の私なのでしょうか? その答えも出せないまま、私はエントランスを抜け、エレベーターのボタンに手をかけました。 ただ一つ確かなことは、下着をはしたないほど濡らしていることだけでした。 つづく・・・ |
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小説 「妄想の仮面」 第七章・・・
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2008/06/06(Fri)
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※ 小説を読まれる方へ・・・ 七.夫の独白(三) 「清川、由美子を誘惑してくれないか?」 会社の帰り、行きつけの居酒屋で私はそう清川に打ち明けた。 「田口課長、独身者をからかうのは止めて下さいよ」 「冗談で言っているんじゃない。清川、お前由美子をどう思う?」 真顔の私を見て、清川は笑うのを止めて神妙な面持ちを見せた。 「それは憧れていますよ。美人だし、とても家庭的だし・・」 「家庭的?」 「ええ、結婚するなら、奥さんみたいなタイプがいいですよ。何て言うのかな・・いつも夫を立てて、半歩後ろをついてきてくれるみたいな・・愛美ちゃんを見ていると、母親としても理想的じゃないですか」 私はビールのグラスをあおった。 「女としてはどうだ?」 「えっ、女として・・ですか?」 清川は考え込んだ。 「課長、それは私にはわかりませんよ」 「俺にもわからないんだよ」 「はあ?」 「たぶん、俺は由美子の女を取り戻したいんだと思う」 一瞬、居酒屋の喧騒が消えたように静かになった。 それにより男と女は、夫と妻と言う役割を担わされる。そして子供ができると、次は父と母と言うより厳格な立場を背負わされることになる。 特に女性は、男性に比べて社会的なプレッシャーが強い。妻は貞淑であり、夫に従順でなければならない。母に至っては、聖母のイメージ通り、あらゆる欲望を捨てて自己犠牲を強いられる。 それが良妻賢母の正体だろう。 (由美子に女であって欲しい) 欲張りなのかもしれない。だが妻として母として満点な由美子に、もう一度心ときめく女を取り戻して欲しい。良妻賢母になろうとして封印した女を、私の前で解き放って欲しいのだ。 むろん今も容姿に不満はない。 だが長年私にしか接していない由美子は、火傷するような女の熱情を忘れてしまっている。私は由美子に、激しく燃え上がる女の恋情を取り戻して欲しいのだ。 つづく・・・ |
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小説 「妄想の仮面」 第八章・・・
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2008/06/08(Sun)
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※ 小説を読まれる方へ・・・ 八.夫の独白(四) 清川は怪訝な顔をした。 「しかし田口課長、それはご夫婦の問題じゃないですか・・」 「確かに清川が言う通りだ」 「それなら」 「だが十年以上夫婦をしていると、なかなか普段の生活は変えられないんだ」 私はおもむろにタバコをくわえると、ふうっとため息をつくように煙を吐いた。 夫婦の性生活は定食のようなものだ。 私は前戯も疎かでやや早漏気味、夫婦の閨はせいぜい二十分がいいところだ。 由美子も不感症ではないが、家事と育児に疲れて、暗闇の寝室でマグロになっていることが多い。 そんな夫婦生活を続けていると、急に熱心に愛撫したり、新しい性行為に挑戦したりするのは抵抗があるのだ。 しかも由美子にとっては、私こそが妻として母として安住する元凶に他ならない。 いくら淫らさを求めても、相手が私であり続ける以上、由美子は明朝の食事やゴミ捨てから逃れられないのだ。 どす黒い妄想が心に湧き上がってくる。 『妻が他の男に抱かれる姿を見たい』 妻であり母でもある由美子が、男に組み敷かれて、女の本性が命ずるまま、狂ったように身悶えている痴態を見たいのだ。 淫らな女の本性を剥き出しにして、禁じられた肉茎を受け入れる由美子を見たいのだ。 私の切々たる悩みを聞いた清川は、ビールのグラスを一気にあおった。 「わ、わかりました・・ですが、奥さんを誘惑するなんて僕には自信がありません」 覚悟を決めてくれた清川だったが、不安そうな表情を隠しきれない。 「実はコンサートのチケットを二枚用意してある」 私は鞄の中からサザンのチケットを取り出した。 「ど、どうするんですか?」 「由美子は若い頃から熱狂的なサザンのファンだ。これを使って・・」 私は清川の耳元で十年以上も練り上げた策を授けた。 「・・なるほど」 男達の秘密めいた会話は、居酒屋の片隅に異様な空間をつくった。 二人の男が抱くお互いの妄想は、歪んだ妖しい夜を更けさせていった。
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小説 「妄想の仮面」 第九章・・・
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2008/06/11(Wed)
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※ 小説を読まれる方へ・・・ 「パパが家事をするなんて珍しい」 小学校四年生になる愛美が、意外そうな表情で私を手伝ってくれた。娘の心配りは嬉しかったが、由美子と清川のことを考えると、私は気もそぞろなあり様だった。 (今頃、由美子は・・) 想像しただけで、早鐘のように鼓動が早まり、口がカラカラに渇いてくる。そして情けないほど指が小刻みに震える反面、邪な妄想が肉茎を痛いほど怒張させる。 夜、私は愛美を寝かしつけ、テレビもつけずに由美子の帰宅を待った。 私は三本目の缶ビールを空けた。酒の力にすがらなければ、妄想にとり憑かれて悶え死にしそうだった。 「ただいま」 由美子が帰ってきた。 「どうだった?」 リビングのソファにもたれた由美子に、私は平静を装って声をかけた。 「うん、楽しかったわ」 由美子はふうっと大きく息を吐くと、コンサートの模様を、不自然なほど饒舌に語り始めた。 私は冗談めかして核心に迫る質問をぶつけてみた。 「清川と食事をしたんだろう? 酔わされて襲われなかったか?」
実は由美子の帰宅直前、清川からメールが届いていた。そこには、タクシーの中で奥さんにキスしたと書かれていた。 私は激しい嫉妬に駆られた。 清川との痴戯そのものより、由美子が私に嘘をついたことがショックだった。 「あの子、酔っ払って私にキスしたのよ」 そうあっけらかんと言ってくれたら、私の黒い愉悦は雲散霧消していたかもしれない。 私はソファに由美子を押し倒した。 「あ、あなた、何をするの?」 抗う由美子を組み敷くと、私は荒々しくスカートを捲り上げた。そしてストッキングとショーツを剥ぎ取り、すでに硬くなっている肉茎を陰部に宛がった。 「あ、いやっ・・」 私は愛撫もせず、一気に由美子の秘芯を貫いた。 「ど、どうして・・あ、ああっ、無理よ・・いきなりなんて・・」 ところが由美子の花芯はすでに綻び、いつでも男を迎えられるように濡れていた。 「ゆ、由美子・・」 だがすぐに堪え切れなくなった私は、十数回腰を動かしただけで、あっけなく射精してしまったのだった。
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小説 「妄想の仮面」 第十章・・・
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2008/06/14(Sat)
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※ 小説を読まれる方へ・・・ 「でも私にとって奥さんは妻でも母でもありません。一人の女であるだけです」 まるで密教の陀羅尼を唱えるかのように、その呪文は体の中を駆け巡って行きます。 (一人の女・・) すると不思議なことに、今まで意識していなかった私の中で、別の人格が心臓の鼓動を刻み始めたのです。 (清川君が好き) それが私に住みついてしまった女の第一声でした。 私は途惑いました。 平日の午前中、主人と愛美を家から送り出すと、決まって女の私が現れるようになったからです。 (いけないわ・・そんな関係は許されないのに・・) でもそんな心とは裏腹に、下腹部がじんと痺れて、全身が燃えるように熱く火照ってきます。 恥ずかしいことです。 「あ、ああん・・」 勝手に指がショーツの中へ滑り込んでいきます。 もうぐしょぐしょです。子供を産んだ四十歳間近のオバサンが、朝から自慰に耽っているのです。 洗面台で立ったまま、私は小さく彼の名前を呼びました。 「き、清川君・・」 その禁断の六文字を口にしただけで、私の中の女は狂ったように暴れ出します。 「ああっ、欲しい・・あ、あなたが欲しいのよぉ・・」 うわ言のように喘ぎながら、私は立ったまま体を硬直させていました。 (このままでは狂ってしまう・・) 私は怖くなりました。 今夜は清川君が家へ遊びに来ます。 |













