FC2ブログ

『野良猫』 第一章

野良猫1

『野良猫』 第一章

FC2 Blog Ranking


ベッドが軋んでいる。

覆い被さった男が乳房を揉みしだき、息を荒げて激しく腰を撃ちつけてくる。

「気持ちいいか・・気持ちいいだろう?」

担ぎ上げた両脚の間から男は顔を覗かせ、何度も同じ台詞を問いかけ続ける。

「ええ、凄く気持ちいいわ」

藤野麻美は男の興奮を陰部で受け入れながら、次第に醒めていく自分の心と身体を感じ始めていた。

(哀れな男・・)

馬ほどに鼻の穴を広げて呼吸を荒げ、顔面が引き攣るほどの必死な形相で、男は麻美の快楽を征服しようと腰を振り続ける。

「ど、どうだ、亭主なんかよりずっと気持ちいいだろう?」

「ああ、いいわ・・あなたの方がいい・・」

麻美は男の動きに合わせて腰を揺すり、口をわざと半開きにして喘いでみせた。

心が次第に凍りついていく。

(世の中には、この程度の男しかいないのかしら?)

男の阿呆面を心の中で笑いながら、麻美は冷静に自分が置かれた不遇を自嘲した。

この男とは出会い系サイトを通じて知り合った。そして初めて会った今夜、食事もそこそこにラブホテルへ直行したのだった。

元からさほど期待はしていなかった。

そもそも出会い系サイトを利用して、極上の男に巡り合える可能性など皆無である。
だがサイト使って麻美は三十人近い男を漁ったが、セックスに長けた男ぐらいなら、十人に一人ぐらいの確率で出逢うことができた。

ところが男はセックスでも外れだった。

女泣かせを自称した男の男根は、麻美の子宮口を突くこともできない粗品だった。
この先つきまとわれては面倒なので、今夜は一夜限りの夢だとはっきり教え込まなければならない。

つづく…

皆様から頂くが小説を書く原動力です

FC2官能小説集結
 にほんブログ村 恋愛・愛欲小説 人気ブログ「官能小説」ランキング 

「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る


theme : 妄想の座敷牢
genre : アダルト

『野良猫』 第二章

『野良猫』 第二章

FC2 Blog Ranking

男の動きが止まった。

ベッドに胡坐をかいて背を丸め、射精した避妊具を男根から外す姿が如何にもみすぼらしい。
何もそこまで毛嫌いせずともいいのだが、麻美には昔から底意地悪く男を値踏みする癖があった。
絶頂の余韻を楽しむかの表情をつくりながら、冷徹に男と別れる算段を考え始めた。

ベッドで煙草を燻らせながら、麻美はバスルームから出て来た男に話しかけた。

「ねえ、奥さんとは上手くいっているの?」

「えっ、ああ、まあね・・でも子供がいるから一緒にいるようなものだよ」

男は一瞬顔を曇らせたが、何かを取り繕うように素っ気なく答えた。

「遊び人なのね」

「そうでもないさ・・でもお互いに家庭があるんだから、できればこれからもスマートに大人の世界を楽しみたいね」

男が気障にそう答えた時、突然鞄の中でスマホのバイブ音が鳴り始めた。
慌てて鞄を開けた男は、顔を強張らせながらスマホを懸命にチェックした。

「奥さんからの連絡?」

「い、いや、家内とはほとんどメールなどしないからね」

麻美の想像が図星だったのか、我に返った男は再びスマホを鞄に投げ込んだ。
麻美はベッドから跳ね起きると、上半身を反らしてバストとヒップのラインを強調したポーズをとって見せた。

「あたしの身体と奥さんの身体、どっちが好みかしら?」

「そ、そりゃ君さ・・家内の身体なんか、ぶよぶよに弛んで無残なものだよ」

再び萎えた男根を半ば勃起させて、男は麻美の身体を執拗に撫で始めた。

(どこまで下衆な男なの?)

自分の妻を醜いと蔑んでまで麻美の身体を欲する神経が、最低の部類に属する性欲豚であることを証明していた。

つづく…

皆様から頂くが小説を書く原動力です

FC2官能小説集結 にほんブログ村 恋愛・愛欲小説 人気ブログ「官能小説」ランキング 

「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る


theme : 妄想の座敷牢
genre : アダルト

『野良猫』 第三章

『野良猫』 第三章

FC2 Blog Ranking

程度の差こそあれ、今までに出逢った男達は麻美にしつこくつきまとった。
昨年、麻美が資産家の老人と一夜を共にした時、若い頃のソフィア・ローレンに似ていると言われた。
後にネットで調べてみると、確かにイタリアの大女優と麻美はどこか似た容貌をしていた。

野生的で彫りの深い顔立ち、逞しいほどのグラマラスな肢体、それでいてどこか男を寄せつけない孤高な表情――そのアンバランスさが男達を惹きつけるのかもしれない。
オードリー・ヘプバーンが愛らしい飼い猫であるならば、ソフィア・ローレンは世に背を向けた野良猫なのだろう。

野良猫ならば都合がいい。
屋内に飼い猫がいても、餌を与えてやれば野良猫は庭先で可愛がることができる。

飼い馴らされた猫にはない魅力があるし、その生活に責任をとらなくても許される。
だが一点恐れるべきは、野良猫も馴れ過ぎると家に棲みついてしまうことだろう。

麻美は男に抱きつくと、うっとりとした表情をつくって上目遣いに囁いた。

「ねえ、私と結婚してくれない?」

「け、結婚・・?」

男は目を大きく見開いて、哀れなほどしどろもどろになった。

「だって奥さんとは上手く行ってないんでしょう?」

「い、いや・・しかしね、君だって家庭があるんだし、その、それは、なかなか現実的ではないんだと思うな・・」

大金があろうと地位があろうと、男達は家庭や会社といった安定した根城を脅かす冒険を嫌う。
農耕民は狩猟民の自由に憧れながらも、決して稲作を放棄して深山を空腹で彷徨おうとはしない。

だから男達には、野良猫は野良であることに意味があるのであって、毛並みや血統、性格が重視される飼い猫とは対極の存在に他ならない。

つづく…

皆様から頂くが小説を書く原動力です

FC2官能小説集結 にほんブログ村 恋愛・愛欲小説 人気ブログ「官能小説」ランキング 

「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る


theme : 妄想の座敷牢
genre : アダルト

『野良猫』 第四章


『野良猫』 第四章

FC2 Blog Ranking

艶っぽい瞳で麻美に見つめられた男は、青ざめた顔をして頻りに時計を気にした。


「さて、そろそろ帰らないといけないな」


話を早く切り上げたい男は、麻美を無視してあたふたと身支度を整え始めた。

もうこの男は二度と麻美に近づこうとはしないだろう。
もちろん麻美自身がそう仕向けたのだが、器が小鉢ほどの男達への苛立ちが改めてこみ上げてきた。


場末のラブホテル前で別れた麻美は、そそくさと家路へ急ぐ男の後ろ姿を鼻で笑った。


(男なんて皆この程度・・もうつまらない男は懲り懲りだわ)


客引きが屯する歓楽街の通りを折れて、麻美は大きな公園の中を速足で駅へ向かった。


ライトアップされた桜並木が、その淡い花弁を闇夜の空に散らしている。


麻美は歩みを止めた。


蒔絵の図柄にも似た春の切ない風情が、荒んだ麻美の心をゆっくりと蕩かしていく。


(でも・・野良猫だって、いつかはきっと愛するご主人様と巡り合えるわよね)


三十余年待ち焦がれる白馬の王子様を夢想して、麻美は少し強張った表情を緩めた。

桜の名所とうたわれるだけあって、公園の遊歩道には、桜の儚さとは無縁な人々が宴会を催していた。


「おう姐ちゃん、いい女だな。こっちへ来て一緒に呑まないか!」


「いい身体をしているなあ・・一人でこんなところを歩いているようじゃ、今夜は寂しく男旱ってところかな?」


へべれけに酔った中年男達が、コートの裾をはためかして歩く麻美に声をかけてくる。


麻美は再び切れた。


「ふざけんな、一昨日来やがれっ!」


麻美は威勢のいい啖呵を切ると、ヒールの靴で思い切り公園のゴミ箱を蹴りあげた。


(どいつもこいつも・・)


潔い桜の花弁一枚にもなれない男達に、麻美は癇癪を起して駅へと速足で向かった。

 

つづく…

皆様から頂くが小説を書く原動力です

FC2官能小説集結 にほんブログ村 恋愛・愛欲小説 人気ブログ「官能小説」ランキング 

「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る


theme : 妄想の座敷牢
genre : アダルト

野良猫』 第五章

『野良猫』 第五章

FC2 Blog Ranking

麻美が自宅のマンションに着くと、珍しく夫の藤野勇樹が既に帰宅していた。


勇樹は三十七歳、財閥系銀行の本店営業部で上席調査役を務めている。


「遅かったじゃないか」


「うん、昔の女友達と久しぶりに女子会で盛り上がってね。もう夕食は済ませたの?」


「ああ、帰る途中、駅前の立ち食い蕎麦屋で済ませてきた」


「ごめんなさい」


「構わないよ。明日は取引先で資金調達のコンペがあるから、書斎に籠ってプレゼンの練習をしなければ
ならない」


「・・そう」


「お前も疲れただろうから早く寝なさい」


そう言うと勇樹は、自分の寝室兼書斎のドアをバタンと閉めた。


夫婦の関係は冷え切っていた。


過労死しないのが不思議なほど、勇樹の帰宅は毎晩十一時を過ぎていた。
たまに早く帰っても話すのは仕事のことばかりで、今夜のようにテレビも碌に観ず、書斎に籠ってしまうことが多かった。

勿論、休日は得意先のゴルフ接待。


エリート銀行員と一緒になった宿命と言えばそれまでだが、贅沢な生活ができる賃金も立派なマンションも、寂しさの代償としては酷くみすぼらしく思えた。

これで子供でもいれば気も紛れるのだろうが、仕事で疲れているのか最近は寝室を共にすることもない。


(何でこんな男と結婚したのだろう?)

メガバンクのエリートで出世街道を突っ走る勇樹と、工務店の事務員として働いていた麻美とでは、そもそも出逢ってしまったこと自体が不幸だったのかもしれない。


東京大学を卒業した勇樹とグレて高校を中退した麻美との間には、普段道ですれ違っても接触できないように、生い立ちと言う境界がお互いを守っているはずだった。

ところが出逢った刹那、麻美は不幸になることを知りつつ、目に見えぬ深い境界線を愚かにも踏み越えてしまったのだった。

 

つづく…

皆様から頂くが小説を書く原動力です

FC2官能小説集結 にほんブログ村 恋愛・愛欲小説 人気ブログ「官能小説」ランキング 

「黄昏時、西の紅色空に浮かぶ三日月」に戻る


theme : 妄想の座敷牢
genre : アダルト

プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご 挨 拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。                
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
※ 小説を読まれる方へ・・・   更新記事は新着順に表示されますので、小説を最初からお読みになりたい方は、各カテゴリーから選択していただければ、第一章からお読みいただけます。
最近の記事
FC2カウンター
最近のコメント
データ取得中...
ブログ内検索
アクセスランキング
ご訪問ありがとうございます。
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ フィードメーター - 『妄想の座敷牢』~官能小説家、紅殻格子の世界~
ランダムでブログを紹介
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

携帯からご覧いただけます
QR
FC2ブックマーク
RSSリンクの表示
FC2ブログランキング
 あと一歩のを目指して…
 日々頑張って書いています

応援よろしくお願いします
FC2官能小説ランキング入り口 
FC2官能小説ランキング入り口
にほんブログ村
いつも応援ありがとうございます。お陰さまで「恋愛(愛欲)小説ランキング」上位に入りました。

↓妄想の座敷牢は何位??↓
   にほんブログ村 恋愛小説(愛欲)ランキングに行ってみる
     にほんブログ村
  にほんブログ村(愛欲小説)
     にほんブログ村 小説ブログはこちらから…

 [官能小説] ブログ村キーワード
人気ブログランキング


        
人気ブログランキングへ
カテゴリ別小説選びにお勧め
様々なジャンルの小説検索が可能です。 

  カテゴリ別オンライン小説
  カテゴリ別小説ランキング 
 
     HONなび 
 オンライン小説ナビゲーター「HONなび」

    ネット小説ランキング投票
ネット小説ランキング/成人向け小説専用
ジャンル別リンクサイト様
相互リンクサイト様
※「妄想の座敷牢」はリンクフリーです。 また相互リンクを希望される方は、メールフォームorコメント欄で連絡をいただければ検討させて頂きます。 ※ただし商用目的だけのサイト及び有料アダルトサイトに誘導する目的のサイトは、こちらにお越しくださる皆様のご迷惑となりますのでお断りさせて頂きます。
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク用バーナー
妄想の座敷牢8

妄想の座敷牢7

妄想の座敷牢9

妄想の座敷牢4

妄想の座敷牢6

妄想の座敷牢5