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「肉形見」 第一章・・・(紅殻格子)

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          「肉形見」

一.

一両編成のディーゼル列車が、牛の歩みと変わらぬ鈍さでごとごとと走る。
車内には背を丸めた老人と居眠りする学生が疎らに座っている。

平尾武彦は一人車窓に頭を凭れて、ゆっくりと流れていく景色を眺めていた。
水墨画にも似た雪と枯れ木だけの山々が、車窓に迫っては遠ざかる。

新緑色の水と満々と湛えた大河が、
鉄橋を渡る度に右へ左へとその雄景を映す。

(今日は冬至か・・・)

まだ午後の三時を過ぎたばかりなのに、空は藍色に変わり始めていた。

武彦は坐り通しで痛くなった尻を擦った。
東京を出発したのは朝である。

だが日が暮れようとするこの時間になっても、
武彦はまだ旅の途中であった。

東北新幹線と在来線を乗り継ぎ、
更に一日五本しか運転されないローカル線に揺られて
計六時間、故郷の湯女川は海外よりも遥かに遠かった。

つづく・・・

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「肉形見」 第二章・・・(紅殻格子)

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             「肉形見」

二.

東京の食品会社に勤める武彦は、一週間早い年末・年始の休暇を貰い、
東北の山奥にある実家に向かっていた。

得意先の挨拶回りや忘年会が続く年の瀬に、
二十八歳でヒラ社員の武彦が休暇を取るのは容易ではなかった。

会社は有給休暇を取るように奨励している。
だがいざ休むとなると、職場は掌を返したように冷酷だった。

昔気質の上司には社会人失格のレッテルを貼られ、
呑気にスノボ-にでも行くのかとさんざん厭味を言われた。

就職して六年、武彦も会社の人間関係の難しさがわかる年齢になっていた。
会社という群れ社会からはぐれないために、
一度群れからはぐれた者は、悪質ないじめや村八分の標的とされ、
やがてはリストラ候補に祭り上げられてしまう。

武彦はそんな会社の陰湿な人間づきあいに、
遣り切れない疲れと孤独を感じ始めていた。

しかし敢えて会社での立場を省みず、武彦が早めの休暇を取った理由は、
父の健康がすぐれないとの連絡を受けたからだった。

つづく・・・

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「肉形見」第三章・・・(紅殻格子)

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            「肉形見」

三.

父の泰治は今年で六十五歳になる。
農家に生まれ育った泰治は畑仕事で鍛えた頑丈な体を、
常日頃から医者要らずと自慢していた。

ただ昨年腰を痛めて以来、思うように体が動かせなくなり、
すっかり老け込んでしまったらしい。

農閑期のこの季節、泰治は日中寝てばかりいると母の絹江はこぼしていた。
しかしそんな泰治が本格的に寝込んでしまったと、
絹江から心細そうな声で電話を受けると、武彦も実家に帰らざるを得なかった。

辺りがすっかり夕暮れに染まる頃、武彦はやっと湯女川駅に到着した。
所々雪が残るホームの先には、木造の煤けた駅舎がぽつんと建っている。

(ここに帰るのは二年ぶりか・・・)

まだ武彦は自由な独身の身だが、
湯女川は土日で気軽に帰れる距離ではないし、
ゴールデンウィークやお盆休みはどうしても旅行や趣味に追われてしまう。

今回有給休暇を取ってまで早めの正月の帰省をしたのは、
両親に無沙汰をしている疚しさを晴らす意味もあった。

武彦は車掌に切符を渡して無人の改札を出た。
湯女川は駅前に温泉旅館が三軒並ぶだけの小さな湯治場である。

武彦の他に乗降客はなく、黄昏時の湯女川はさびれてうら悲しく見えた。
駅舎を出た武彦は周囲を見渡した。

「武彦さん」

武彦はぽつんと一台だけ停まっている車から現れた女性に声をかけられた。

つづく・・・

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「肉形見」 第四章・・・(紅殻格子)

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             「肉形見」

四.

兄嫁の由紀だった。

「義姉さん、ご無沙汰しています」
「こちらこそ。さあ、お義父さんとお義母さんが首を長くしてお待ちですよ。
寒いから早く車に乗って」

由紀は武彦の荷物をトランクに入れると、車のエンジンをかけた。

武彦の実家は湯女川駅から車で十五分ほど離れた山中にある。
車は駅前を離れ、小さな渓流沿いに狭い山坂を登っていく。

由紀は教習所で教える通り、ハンドルを両手で力一杯握り締め、
山蔭の凍結した路面を避けながらのろのろ走った。

「ごめんなさいね。運転が下手で・・・」

由紀はフロントガラスを凝視しながら、武彦に何度も侘びた。

武彦は由紀を横目で見た。
紺の綿入れを羽織り、地味なこげ茶色のズボンを穿いた由紀は、
とても三十三歳とは思えない地味な出で立ちをしていた。

東京のオフィス街を闊歩する同年代のOLと比べると、
その野暮ったさは滑稽なほどだった。

ただ武彦はそんな兄嫁を敬愛していた。
由紀の夫である武彦の兄の智彦は、一昨年、三十六歳の若さで鬼籍に入った。
死因は癌だった。

二人は十年間生活を共にしたが、子供には恵まれなかった。
智彦が逝ってから由紀には再婚話もあったらしい。

しかし由紀は智彦のいない平尾家で、今も泰治と絹江の世話をしてくれている。
二人兄弟の武彦は、兄亡き今、本来なら平尾家を継ぐべき立場にある。

だが武彦が両親の面倒も見ず、気ままに東京で暮らせるのは、
全て由紀のお陰に他ならなかった。

つづく・・・

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「肉形見」 第五章・・・(紅殻格子)

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           「肉形見」

五.

やがて車は十五戸ばかりの民家の並ぶ山間の盆地に出た。
武彦の実家はその集落の中央にあり、代々長を務める家柄である。
武彦と由紀が家に帰ると両親が玄関まで出迎えに来た。

「おお、武彦。元気じゃったか?」

泰治は大声でこう言って何度も武彦の肩を叩いた。
健康がすぐれないわりに、血色も良く以前と変わらず威勢がいい。

「さあ、早く上がれ。熱燗を用意しとったから一緒に飲もう」

「親父、体が悪いんだろう。寝ていなくていいのか?」

その時、絹江が泰治の袖をそっと引っ張るのを武彦は見逃さなかった。

「ゴホン、ゴホン。そうじゃ、ちょっとばかり腰を痛めてな。
昨日まで寝込んでおったのだが、
お前の顔を見たらすっかりと治ってしまった。ワッハハハ」

泰治はごまかすように大笑いした。

「本当、今日は調子がいいみたいねえ」

絹江が引きつった顔で追従した。
旅の疲れがどっと武彦の全身に拡がった。

仮病である。
鬼の霍乱かと心配し、無理に会社を休んだが、
どうやら筋と絹江の術中にまんまと嵌ってしまった。

つづく・・・

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「肉形見」 第六章・・・(紅殻格子)

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             「肉形見」

六.

居間の掘り炬燵に入ると、
上機嫌で泰治は武彦にお猪口を渡し熱い徳利を傾けた。

「母さんの手料理も久しぶりだろう」

炬燵の上には芋の煮っ転がしや川魚の甘露煮、山菜、漬物など、
素朴な田舎料理ばかりが並べられていた。

東京でコンビニ弁当を食べ飽きていた武彦は、
懐かしくて温かい家庭の味を久しぶりに堪能できた。

武彦は熱い酒をあおった。

兄の智彦が逝って以来、泰治は晩酌の相手をなくして、
寂しい夜を過ごしていたに違いない。

武彦は次第に騙された怒りも忘れた。
そして二年も家に帰らなかった親孝行を恥じ入った。
泰治が再び徳利を武彦に差し出した。

「武彦、今夜はゆっくり飲もう」

野太いごつごつした指が年のせいか小刻みに震えている。
武彦が子供の頃見た泰治の逞しい腕は、いつの間にか細く筋張っていた。

絹江と由紀も一緒に食事を始めた。
絹江も大分白髪が増えた。耳も遠くなりつつあるのか、
由紀は絹江と話す時は声を少し大きめにしている。

武彦も年老いた両親の姿を目の当たりにし、
改めて自分の置かれている立場を思い知らされた。

(苦い酒だ)

呑めば呑むほど平尾家の跡取りという責任が重く覆い被さってくる。
自由気ままな次男坊だった武彦は、急転した人生に戸惑うばかりだった。

つづく・・・

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「肉形見」第七章・・・(紅殻格子)

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七.

翌朝、武彦は兄の墓参りに出かけた。
墓は山の中腹にあり、急な坂道を登らなくてはならない。

「武彦さん、滑るから気をつけて」

ふくらはぎまで埋もれる雪に足を捕られながら、
武彦は懸命に由紀の後ろを追った。

しかし都会暮らしが長いせいか、雪道歩きの感が戻らず思うように進まない。
由紀は女だてらにすいすいと登り、急な坂道では手を貸してくれた。

泰治が由紀を付き添いに寄越した理由がやっとわかった。
杉木立に囲われた墓所は一面雪に覆われ、
墓石はこんもり小さな雪帽子を被っていた。

ただ平尾家の墓だけはきれいに雪が掃われている。
きっと由紀が毎日のように墓参りしているからだろう。
武彦は墓前で手を合わせた。

(兄さん・・・)

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「肉形見」 第八章・・・(紅殻格子)

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             「肉形見」

八.

智彦とは年が離れていたせいか、兄弟喧嘩をした記憶はなかった。
農繁期で両親が忙しい時、幼い武彦の面倒をみてくれたのは智彦だった。

夏の暑い盛り、虫取りや魚釣りに連れて行ってくれた兄。
冬の雪山で、熱心にスキーを教えてくれた兄。

県立高校を主席で卒業した智彦だったが、農業を継ぐために進学はしなかった。
本心は大学へ行きたかったに違いない。

そして、武彦は東京の大学に進学を希望した時、
猛反対する両親を説得してくれたのは智彦だった。

本当に優しい兄だった。
由紀と結婚した時の幸せそうな顔。
そして病床でのやつれ果てた顔。

恩返しひとつできないうちに兄は世を去ってしまった。
死期を悟った兄は武彦が最後に面会に行った日に、遺言のような言葉を漏らした。

「武彦、親父とお袋を頼む・・・」

しかし未だに武彦は兄との約束を果たせずにいる。
兄の墓標を前にして、武彦はサラリーマン生活に流されている
己の優柔不断さに身が縮む思いがした。

つづく・・・


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九.

武彦が合掌を終えると、由紀が墓前に額ずいた。
由紀は黒髪を無造作に束ね、化粧をすることも忘れてしまっていた。

しかし色白の瓜見顔と柳眉、二重瞼を彩る長い睫、
整った小さな口唇は、化粧などしなくても十分美しかった。

じっと手を合わせて瞑目する由紀の横顔は、
未亡人の愁いを湛えながらも、墓石を兄に見立てて甘えるようにも見えた。

由紀は二十四歳で智彦に嫁いだ。
隣村の農家の出身で、役場の職員として働いていた。

由紀は近郷でも評判の美人で、若者たちの人気は高かったらしい。
智彦は村の若者同士の交流で由紀を見初め、
並み居るライバルを蹴落として娶った。

智彦の審美眼は正しかった。
男にもてはやされる女は得てして天狗になりやすい。

しかし由紀は違っていた。
厳格な家庭に育ったせいか、万事控えめで辛抱強かった。

辛い農作業も苦にせず、舅姑によく仕えた。
智彦との夫婦仲も傍目が羨むほど睦まじかった。

だが人生の伴侶は早世した。
智彦との思い出だけに縋って残された人生を送るには、
由紀は余りにも若過ぎた。しかも子供はない。

女盛りの由紀に再婚の意思があれば、引く手数多に違いない。
その由紀が、亡き夫に操を立て、舅姑に義理を立て、
平尾の家に骨を埋める気でいるのが武彦には忍びなかった。

(どうして義姉さんは・・)

武彦には由紀の心中が読めなかった。
別に泰治と絹江が引き止めているわけではない。

現に智彦の一周忌に、泰治は早く再婚する相手を探すよう由紀を説得した。

だが由紀は実家に帰る素振りも見せず、
第二の人生を始める気配も見せなかった。

つづく・・・

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「肉形見」第十章・・・(紅殻格子)

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               「肉形見」

十.

武彦は墓に手を合わせる由紀に聞いた。

「義姉さん、兄貴が死んでもう二年になるけど、
このまま家にいたら、いい再婚話も来ないじゃないかな?」

由紀は武彦に愁いに満ちた瞳を向けた。

「寂しいことを言わないで、武彦さん。
うちの実家は弟が結婚して跡を継いでいるの。
今更私に帰る場所なんてないのよ。 それを出て行けなんて・・・」

「いや、出て行けなんて言ってないよ。ただ義姉さんは若くて綺麗だし、
まだ先の長い人生をこのまま独りで過ごすなんて・・・」

「武彦さんはまだ結婚してないからわからないでしょうけど、
一度築き上げた生活を変えるのはそんなに簡単じゃないわ。
夫と死に別れた女は再婚しなければ幸せになれないなんて寂し過ぎる。
智彦さんと結婚したご縁で、お義父さんとお義母さん、
それに武彦さんとも家族になれたの。
私、平尾家の人間になってとても嬉しかった。
智彦さんは亡くなったけど、その思い出の残る平尾の家で、
家族と一緒にいられるだけで私は幸せなのよ」

武彦は控え目で大人しい由紀が、
実は芯の強い女性であることを改めて知らされた。

「でもね、いつか武彦さんがお嫁さんを連れて帰って来るでしょ?
その時までにはいい男性を見つけるから心配しないで」

由紀は墓石の横に植えてある柘植の雪を手で掃いながら、
冗談めかして言った。

だが、瞳は迷子の子犬のようにどこか怯えた悲しみに溢れていた。

つづく・・・

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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご 挨 拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。                
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

作 品 紹 介
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