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『闇に抱かれて』 第十一章

『闇に抱かれて』
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(十一)

再び緑色の仄暗い闇に静寂が戻った。
智彦は運転席に戻ると、興奮を醒めさせないように、助手席で呆然とする美也子の乳房へ舌を這わせた。

「ああん…見られちゃったわ、あの子に」

「きっと喜んでいるぞ」

「んもう…バカ、変態…ああっ…」

美也子はまだ性夢の中にいた。
智彦は助手席を倒しながら、スカートを捲り上げてショーツを膝まで下ろした。

むっと雌の甘酸っぱい匂いが車内に立ちこめた。
智彦は柔らかい翳りの奥へ、クレパスに沿って中指を滑らせた。

「ああん…いやん」

美也子は、指先を拒んでいるのか求めているのかわからない仕草で腰をよじった。
おびただしい淫蜜が秘唇から溢れ、窪んだ菊花へ滴っている。

「シートまで濡らしているじゃないか」

「ううん…だってぇ…」

ぬめった肉襞の中、硬くなった淫芯を探すのは容易だった。

「少年に見られて感じたんだろう」

「感じたなんて…ああ…」

美也子は智彦の肉茎をジーンズの上から弄り始めた。

智彦は吃驚した。

過去無理に肉茎をくわえさせたことはあったが、美也子が自分から戯れてくることは一度もなかった。
性に控え目だとばかり思っていた妻が、前回そして今回と、智彦が想像もしなかった雌の牙を剥き出しにしていた。

「欲しいのか?」

「ほ、欲しい…」

智彦はジーンズとトランクスを膝まで下ろし、運転席のシートを少し倒した。
美也子は助手席から体を横たえ、むしゃぶりつくように肉茎をくわえた。

智彦は動揺を抑え、むっちりとした太腿へ左手を伸ばした。
そして濡れて火照った秘唇を指で弄りながら、気がつかれないようにそっと合図のブレーキ・ペダルを踏んだ。

「そうか、見られると興奮するのか」

「んんん、許して…」

「もっと気持ちよくさせてやろうか?」

「…え?」

智彦は耳元で囁いた。

「ほら、そっと後部座席の窓を見てみろ」

美也子は肉茎を半ば口に含みつつ、ちらっと助手席の後ろの窓へ目を遣った。

つづく…

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『闇に抱かれて』 第十章

『闇に抱かれて』
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(十)

よほど今夜も期待していたのか、美也子は滑稽なぐらいうろたえた。

「あ、あなた、どうするの?」

「どんな男がいるんだ?」

「ほら、高校生ぐらいの男の子。テニスの練習をしているけど…」

「本当だ。寒い夜中に頑張っているなあ。別に不良じゃないみたいだし、結構可愛らしい顔をしているじゃないか」

「まあ、暴走族ではないみたいだけど…」

ジャージ姿でラケットを振る晶の姿を、美也子はしばらく注意深く観察していた。

智彦は車を夾竹桃の垣根の脇に止めた。
前回と同じく、ヘッドランプを消してエンジンはつけたままだ。

「ねえ、大丈夫かしら?」

「平気だろ。見たところさほど力も度胸もなさそうだし…それにここまで来て、高まった気持ちを抑えるのも辛いだろう?」

「んもう」

「まあ、ちょっとなら、お前の裸を拝ませてやってもいいけどね」

「やだ、変態夫!」

言葉とは裏腹に、助手席の美也子が智彦にしなだれかかってきた。
欲望を我慢していたのか、智彦が口唇を重ねると、美也子は狂ったように舌先を押し込んできた。

(これが美也子か…)

激しく動く舌先を受けながら、智彦は心中でうめいた。
もし晶がいることを知れば、覗かれることを警戒して消極的になるだろうと予想していた。

ところが結果は逆で、積極的に快楽を求める美也子に智彦は圧倒された。
半ばせがまれるようにセーターを捲し上げると、大理石のようにすべすべした柔肉の膨らみが、緑の輝きを帯びて弾け出した。

「ああ、あなた…」

美也子は喘いだ。
愛撫もしていないのに、乳暈は泡立って凝縮し、乳首は小指の先ほどの大きさに尖って上を向いている。
智彦は周囲に目をくばりながら乳首を弄んだ。

その時、阿一句のエンジン音がした。
車の前方に見える公園の入口で、肩にラケットを背負った晶が帰ろうとするところだった。
公園から出れば、車を停めているこの場所の脇を通ることになる。

「あ、あなた!」

全てが智彦のシナリオとは知らない美也子は、さすがに慌てふためいた。
バイクのヘッドライトが点り、眩しい光を放って前方から近づいて来る。

「ど、どうするのよ!」

「可愛い坊やに、ママのおっぱいを見せてやったらどうだ?」

ドアのロックを掛けて美也子を安心させると、智彦は運転席から後部座席に移動し、助手席の背後から露に乳房を揉んだ。

「恐い、見られちゃう」

二十メートル、十メートル―晶のバイクがゆっくりと近づいてくる。
ヘッドライトが車内を照らし、美也子の肌を闇から白く浮き上がらせた。

「いや、見られちゃう、見られちゃうよ…ああっ!」

美也子の鼓動が高鳴って体が強ばるのがわかった。
車の正面から運転席側へ、バイクは美也子の乳房を舐めるように通り過ぎた。

つづく…

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『闇に抱かれて』 第九章

『闇に抱かれて』
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(九)

深夜の倉庫街。
ヘッドライトが闇を鋭角に切り裂き、無人の廃墟と化した巨大な建物を照らし出す。

「もう本格的な冬の到来だ」

智彦はハンドルを操りながら、助手席にいる美也子に話しかけた。
だが美也子は何も答えず、どこか落ち着かない様子で体をもじもじさせている。

「おい」

「…え、あなた何か言った?」

「どうした?ぼんやりして」

「べ、別に、ぼんやりなんかしてないわ」

緑の蛍光色を放つエアコンのパネルが、美也子の顔を仄かに浮き上がらせている。

「何だ、トイレを我慢しているのか?」

「ち、違うわよ」

そう答えた美也子のはにかんだ表情に、智彦はすぐにその心中を察した。

「ははあ、これから始めることを想像して緊張しているんだな」

「バ、バカ…私はあなたの変態行為を嫌々つきあっているのよ」

美也子は心外そうにプンとふくれて見せたが、内心は図星を指されて明らかに動揺していた。

思えば、美彦を寝かせた後、普段ならパジャマに着替える美也子だが、今夜は赤いハイネックのセーターと、コーデュロイの膝下まであるスカートを穿いたままだった。

車は公園のある倉庫裏へ着いた。

「あっ、あなた人がいるわ!」

美也子は吃驚するような大きな声で、窓の外を指差した。
そこには公園の入り口にバイクを停め、ぽつんと街燈の下でテニスのラケットを振る人影があった。

赤星晶だ。
だがこれは偶然ではなく、智彦があらかじめメールで指示した計画だった。

美也子が野外で裸身を晒すことに、性的な興奮を覚えることは前回照明された。
次は晶に妻を抱かせる布石を打たなければならない。

それで今夜は、美也子に晶の存在を意識させながら、前回同様淫らな振る舞いができるかを試すつもりだった。

つづく…

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『闇に抱かれて』 第八章

『闇に抱かれて』
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(八)

送信者 tuzuki tomohiko
日時 2003年11月××日
宛先 akaboshi akira
件名 Re:昨夜のお礼

『こちらこそ有難うございました。粗末なものをお見せして恐縮するばかりです。
晶君が期待外れで落胆したのではないかと心配していました。

これからも、私たち中年夫婦にお付き合い戴ければ幸いです。
では、私たちも晶君を信じてプロフィールをお伝えします。

私は都筑智彦、中堅建設会社で営業の仕事をしています。
妻は美也子、出会いの掲示板に投稿した通り専業主婦です。

私たちは小学五年生の息子を持つ平凡な夫婦です。
と言っても、自分たちのセックスを覗かせる夫婦が平凡とは思えませんが…(笑)

晶君は私のことをどう思いますか?

心理学を専攻するのであれば、妻の裸身を晒した上、犯させようとしている私の心理を解明して下さい。
自分でも何故こんなことをするのか、答えが出せずに悩んでいます。

私は妻を愛しています。
愛していないのなら、他の男に妻を抱かせる理由は簡単に説明できるでしょう。
しかしそうではありません。

それに妻を責めて喜ぶサディストでもありません。
しかし間違いなく、晶君に妻の裸身を晒すことで、心の裏側に暗い悪魔の愉悦が湧き、体中を快楽が駆け巡るのです。

そして我が掌中の妻を、晶君に寝取られることを夢見て…ああ、私も昨夜のことを思い出し、妻に内緒で自慰してしまいそうです(笑)。

ちなみに初めての野外で裸身を晒した妻も、私を変態とか罵りながら、あの後は大変な興奮ぶりでした。

あれほど淫らな妻は初めてです。
夫として嬉しい反面、妻の本性を知らなかった自分に愕然ともする有様です。

さて次回ですが、来週金曜日の夜を予定しています。詳細はまたご連絡します。
では勉強も忘れずに。』

つづく…

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『闇に抱かれて』 第七章

『闇に抱かれて』
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(七)

送信者 akaboshi akira
日時 2003年11月××日
宛先 tsuzuki tomohiko
件名 昨夜のお礼

『昨日は有難うございました。
ご夫婦の密かな睦み合いを覗かせて戴き、異常なほどの興奮を覚えました。

あの後、アパートへ戻ってから、恥ずかしながら二回も自慰をしてしまいました(笑)。
初めての覗きもスリル満点でしたが、それ以上にご主人の愛撫に身悶える奥様がとても魅力的でした。

普段なら手も届かない貞淑な奥様。
その艶熱した裸身を垣間見られただけでなく、あろうことか絶頂に震える禁断の痴態まで見させて戴き感動しました。

紳士的なご主人を信じて、また、今後もお誘い戴けることを願って、もう少し詳しいプロフィールを書かせて戴きます。

名前は赤星晶と申します。 
出身は九州の福岡市で、現在は港近くのぼろアパートに住んでいます。

私立K大学文学部の一年生で、将来は心理学を専攻し、臨床心理士なるのが夢です。
女性が多い学部ですが、まだ恋人はいません。

マザコン系なのか、年上の女性にしか魅力を感じません。
非常に将来が心配です(笑)

テニススクールで飲み会がある時以外は、大体アパートで燻っております。
また私で宜しければ、お誘いのメールをお願いします。有難うございました。』

つづく…

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『闇に抱かれて』 第六章

『闇に抱かれて』
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(六)

中年夫婦というハンドルネームで出した募集投稿には、十人以上から返信が殺到した。
智彦はマニアックな男や自信過剰な男を避け、初々しい晶だけを今宵誘ってみたのだった。

智彦は体がかっと熱くなるのを覚えた。

(美也子の乳房が覗かれている)

どうして妻の体を盗み見られて興奮するのかわからないが、間違いなく智彦の肉茎ははちきれんばかりに怒張していた。

晶の視線を意識しつつ、美也子に悟られないようショーツに手をかけた。

「嫌、そこは許して」

美也子は両脚を堅く閉じたが、智彦はショーツをずり下ろすと、助けるように腰を少し浮かせた。

逆立った翳りが緑色光に照らし出された。

「いやっ、今夜のあなたはおかしいわ」

「でもお前も嫌いじゃないだろう?」

智彦は指を美也子の秘唇に滑り込ませた。

「ああっ!」

潤んだ秘唇は、すでに熱く沸点にまで達していた。
クチュという音とともに、美也子は大きな喘ぎ声をあげた。

その声が聞こえたのか助手席の窓に目をやると、晶は木陰から身を乗り出していた。

(そうだ、美也子の体の隅々まで盗み見るんだ、晶君)

智彦は喉の渇きを唾で癒しながら、妻の裸身を共にする晶のために、秘唇から顔を出した淫芯を捏ね繰り回した。

「ああ、いい…いいのよ、あなた」

晶の目の前で乳房を揺らして悶え狂う美也子に、智彦は後ろめたい暗い愉悦を感じ、胸が張り裂けんばかりの興奮を覚えた。

「あ、あっあっ…こんなの初めて…い、いっちゃう…いくぅぅ…」

美也子は、夫にだけ許される痴態を、惜しげもなく晶の目に晒しつつ、初めての野外で悦楽の高みに舞い上がって行った。

ぐったりと助手席に横たわる美也子を見ながら、思った以上の成果に智彦は思案した。

(このまま彼を車に入れて犯させるか…)

だがそれは妻にとって強姦だ。
家庭を壊さないためにも、慎重に美也子を調教する方が得策だろう。

先走り液を滲ませた智彦だったが、今夜のところはこの興奮を家のベッドへ持ち帰ることにした。
智彦が手で×印を作って閉幕を告げると、晶は深々と頭を下げて闇に消えて行った。

つづく…

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『闇に抱かれて』  第五章

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(五)

第五章

美也子は生娘のように恥じらい、肝心な乳房を隠さずに両手で顔を覆った。

「ああん、恥ずかしい」

智彦は運転席から体を横に折り曲げ、痛そうなほど反り返った乳首を口に含んだ。

「あっ!」

美也子はピクッと体を痙攣させた。
家で愛撫する時より、敏感に体が反応しているのは明らかだった。

「だ、だめぇ…人が来たら見られちゃう」

「別に見たいやつには見せてやればいいじゃないか」

「ああ、嫌よ。そんなの変態だわ」

智彦はスカートの裾を膝からたくし上げると、生温かい太腿の奥に手をこじ入れた。
予想通り、ショーツの中央はおびただしく湿っていた。

「ああん、だめよ…だめ…」

「ほら、本当はお前も誰かに見て欲しいんじゃないのか。おもらししたみたいにびしょ濡れだぞ」

「ち、違う…ああ…でも…」

口では抗う美也子だが、体はすでに淫魔に魅入られているようだった。
智彦が助手席の背もたれを倒すと、乳房と下腹部を露にした美也子は、瞳を閉じて次の愛撫を待っていた。

計画は順調に進んでいた。

(そろそろ約束の時間だが…)

智彦は乳房への愛撫を続けながら周囲の様子を窺った。
人影はない。だがその時、助手席の夾竹桃がカサッと僅かに動いた。

智彦は鼓動を高鳴らせて目を凝らした。
青白い月の光が、夾竹桃の葉陰から覗く男の顔を照らした。

顔の輪郭からすると、あどけなさを残した少年のように見えた。
(彼が『晶』君か)

つづく…

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『闇に抱かれて』  第四章

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(四)

智彦は煙草の火を消すと、美也子の乳房を鷲づかみにした。

「あっ、何をするの!」

美也子は小さく叫んで手を振り解こうとした。それには構わず智彦は、助手席の美也子を横から覆い被さるように押さえ込み、機先を制して口唇を重ねた。

「う、んんん…」

口唇を吸ううちに、美也子は抗う力を失っていった。
智彦は再び柔らかな乳房を掌中に収めると、セーターの上から丹念に揉みしだいた。

「ううん」

舌先を絡めたまま、美也子が小さな喘ぎを漏らした。
それを見計らっていた智彦は、名残惜しげにゆっくりと口唇を離した。

うっとりと潤んだ美也子の瞳に、緑色にしたパネルの光が滲んでいる。

「もう、こんなところで…他人に見られたらどうするの?」

美也子は声を甘く潤ませて言う。

「大丈夫だよ。深夜こんなところに来る人はいないさ。車もほとんど通らないしね」

「でも、家の方がゆっくりできるのに」

「たまには刺激が必要なんだよ」

智彦はそう言い訳をして、美也子のセーターを捲り上げた。
車に乗るだけだと思っていたからか、美也子はノーブラだった。

豊かな膨らみがブルンと震え出た。
緑色の光を浴びた乳房は、滑らかな球面をエメラルドのように輝かせていた。

かつては巨乳グラビア・アイドルさながら、重力に反してぐっと迫り上がっていた美乳も、子供を産んだ今は、やや垂れ気味でしゃくれた形に変わっていた。

だが智彦には、完璧な半球形の乳房よりも、生活感が滲み出た今の乳房の方が魅力的に思えた。
先端につんと突き出した大きめな乳首が、いじましいほど愛らしかった。
つづく…

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『闇に抱かれて』 第三章

『闇に抱かれて』
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(三)

家から十分ほど走ると、幹線道路を外れて横浜港の埠頭へ続く道に入った。
車はオレンジ色の照明が夜空を焦がす埠頭を掠め、暗く殺風景な倉庫街へと進んで行く。
通行人はもとより行きかう車もない。

「ドライブにしては寂しいところね」

「たまには二人きりになれるところもいいだろう」

「二人きり?嫌だ、美彦が寝ればいつも二人きりじゃない。何か変よ…」

美也子は訝しげな顔をして呟いた。

倉庫街の裏手にこんもりとした木々が見えた。
無人の倉庫に囲まれた五百坪ほどの小さな公園だった。

周囲は人の背丈ぐらいの垣根に覆われ、街灯が四本ばかり心寂しく滑り台とブランコを照らしている。

「あら、住宅もないこんなところに公園があるわ」

「ほう、珍しいな。でも倉庫で働く人が、昼の弁当を食べるのには良さそうだな」

すでに何度か下見をしていたのだが、あたかも偶然を装うように驚き、智彦は、公園の入り口に近い暗がりの道に、助手席側を夾竹桃の垣根に接して車を停めた。

「…あなた?」

美也子の問いかけには答えず、智彦は気づかれないように周囲を確認した。

公園に人影はなかった。近くに停まっている車もない。
倉庫街なので道幅は広いが、裏通りに当たるため、まず他の車が通行する可能性も薄い。

また三百メートルほど走れば、幹線道路に通じており、もし暴走族が現れたとしても、すぐに逃げ出すことができる。
エンジンをかけたままの状態で、智彦はヘッドライトを消した。

社内は仄暗い闇に包まれた。

公園の明かりは垣根に遮られ、エアコンの操作パネルとオーディオだけが、冷たい緑の蛍光色を車内に燈していた。
智彦は再び煙草に火をつけた。

「こんなところで車を停めてどうするの?」

美也子は辺りを見回しながら、責めるような口調で聞いた。
闇の中、小さな緑の燈火が、不安そうな美也子の表情を浮かび上がらせている。

同時に、豊かな乳房が深い陰翳の中で緑の光りを浴び、柔らかなセーターを誇らしげに隆起させていた。
つづく…

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『闇に抱かれて』 第二章

『闇に抱かれて』
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(二)

澄み切った月の光が、深夜の住宅街に冷たく降りそそいでいる。
寝静まった家々と人通りのない舗道が、幽かに青白く浮かび上がって見える。

都築智彦は、フロントガラスに冴えた月を映しながら、ワンボックスカーを走らせていた。
普段と変わらない安全運転だが、口にくわえた煙草は忙しく火球が踊っている。

住宅街から幹線道路へ抜ける交差点で、智彦は車を停めて信号が変わるのを待った。

「ねえ、ちょっと寒いわ」

助手席の妻、美也子が言った。

「ああ、さすがに夜は冷えるな」

操作パネルに手を伸ばしてエアコンを付けた智彦は、横目でちらっと美也子を見た。

結婚して十二年。
飽きるほど長く夫婦を続けているが、意識して妻の顔を見るのは久しぶりだった。

出会った頃には幼く見えた童顔も、三十路の半ばに至って、遅咲きの色香を放ち始めている。
くりくりした円らな瞳とちょっと低めの鼻梁、そしてピンクのミニバラにも似た愛らしい口唇が、肩まで伸びた栗色の髪に映えている。

車はネオンが残る幹線道路へ滑り出した。
午前零時。外食チェーン店とコンビニばかりが、路上に店内の明かりを映している。

「あなた、コンビニ通り過ぎたわよ」

美也子が後ろを振り向きながら言った。

「…いいんだ、別に」

「いいんだって、コンビニへ煙草を買いに来たんでしょ?」

小学五年生になる息子の美彦が寝た後、智彦は煙草を買いに行くのにつきあえと、美也子を誘ったのだった。

「コンビニは逃げたりしないさ。明日は会社も休みだし、たまには夫婦で深夜のドライブとしゃれこむのもいいだろう?」

「若いカップルじゃあるまいし…変な人」

少しはにかんだ表情をして、美也子は首を傾けてクスクスと笑った。
満更でもない妻の態度に智彦は安堵した。

煙草を買うのは深夜のドライブに連れ出す口実に過ぎない。
智彦の胸中に秘めた真の目的は、この車の中で美也子に裸身を晒させることだった。
つづく…

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プロフィール

紅殻格子 

Author:紅殻格子 
紅殻格子は、別名で雑誌等に官能小説を発表する作家です。

表のメディアで満たせない性の妄想を描くためブログ開設

繊細な人間描写で綴る芳醇な官能世界をご堪能ください。

ご 挨 拶
「妄想の座敷牢に」お越しくださいまして ありがとうございます。 ブログ内は性的描写が多く 含まれております。 不快と思われる方、 18歳未満の方の閲覧は お断りさせていただきます。                
児童文学 『プリン』
  
『プリン』を読む
臆病で甘えん坊だった仔馬は、サラブレッドの頂点を目指す名馬へと成長する。
『プリン』
だが彼が探し求めていたものは、 競走馬の名誉でも栄光でもなかった。ちまちました素人ファンタジーが横行する日本の童話界へ、椋鳩十を愛する官能作家が、骨太のストーリーを引っ提げて殴り込みをかける。
日本動物児童文学賞・環境大臣賞を受賞。
『プリン』を読む

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※ 小説を読まれる方へ・・・   更新記事は新着順に表示されますので、小説を最初からお読みになりたい方は、各カテゴリーから選択していただければ、第一章からお読みいただけます。
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